ソフマップ4号店跡に入居した「第2種社会福祉施設」って?

ソフマップ4号店跡に入居した「第2種社会福祉施設」って?

2006年2月の閉店以来現在まで4年近く空きビルのまま放置されている、日本橋5丁目(堺筋東側)の旧「ソフマップ日本橋4号店」跡。
既に物件はソフマップの手を離れ、不動産業者に転売されたことが明らかになっているものの、土地・建物共々極端に細長く利用しにくい形状であることや昨今の経済情勢から開発は事実上断念。さりとて新たなテナント誘致も奏功せず現在に至るのだが、最近になって新たな動きが。

建物の出入口などに、「社会福祉施設 JEC」なる張り紙が。さらに読み進めると「私たちは大阪市と共に生活困窮者を応援しています!」とのメッセージが。……第2種社会福祉施設? 一般社団法人? 聞き慣れない専門用語が次々と出て来るのだが、まずは調べてみることに。

法務省:一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A
厚生労働省:生活保護と福祉一般:第1種社会福祉事業と第2種社会福祉事業
行政書士小野法務事務所:第2種社会福祉事業の解説
Wikipedia:第2種社会福祉事業

これらの情報と張り紙に記載された「生活困窮者への生活支援」云々の文言を重ね合わせると、これは有り体に言えばいわゆる「無料低額宿泊所」であろう、との結論に。しかし、一般社団法人は登記のみで設立出来るものであり、その意味では公益性の有無も問われないわけで、かような団体が「大阪市と共に……」という文言を使って自分たちの活動を(さも、公共性や公益性があるかの如く)アピールすることは適切なのか? という疑問がふと浮かんだ。そこで、市民からの問い合わせを受け付ける窓口「大阪市総合コールセンター」を通じてこれらの疑問を伝え、市役所の担当部署からの回答を待つことに。

一週間経った本日、上記センターから大阪市の担当部署を紹介され、電話でのコンタクトを取ることに成功。そこで驚愕の事実が明らかに。編集部からの疑問に答えて下さったのは、大阪市健康福祉局の生活保護担当・I氏。以下、そのやりとりの一部始終。

(編集部)一民間団体が「大阪市と共に……」という文言をこのような形で使うことに問題はないのか?
(健康福祉局)もちろん問題である。すぐに(張り紙の内容を)確認し、その様な文言を使わないよう指導をした。現地がどうなっているかはまだ確認していないが、既にその団体からは張り紙を修正した旨連絡があり、その内容も市に対して提出されている。もちろん、大阪市が民間団体に対し何らかの事業を委託する場合もあり、その場合に「大阪市との共同事業」であることを謳うのであれば問題ない。但し今回の場合はそれには該当しないし、大阪市とも現時点では一切の関係がない。
(編集部)張り紙には「大阪市に届出を行っている……」とあるが、本当にこの施設は大阪市に届け出されているのか?
(健康福祉局)今回の施設(第2種社会福祉事業における無料低額宿泊所)は許認可制ではなく、あくまでも「届出制」。届出の形が整っていれば市としても受理はする。ただし、まだ事業が始まったばかりということもあり、それが適切な施設・運営であるかどうかということについての実地調査はまだ出来ていない。その意味では、大阪市としてまだ認めたというわけではない。

なんともはや、な状態である。つまり、現時点では件の張り紙の内容は問題だらけだったということだ。さらに踏み込んで、もう一つだけ質問をしてみた。

(編集部)ああいう建物が、本当に「無料低額宿泊所」として使えるものなのか?
(健康福祉局)うーん…… 大阪市としては、一人あたり7.4平方メートルの広さを確保するなど、一定のガイドラインを設けておりまして、それに合っているかどうかは、近々見に行かなければならないんですが…… 情報としては、ちょっと大変なところみたいですな……

思わず担当者も本音が出たようだ(苦笑)。その上で、現時点では上記の「無料低額宿泊所」についての設置基準が法律上明確になっておらず、様々な問題が発生する懸念があっても、自治体として指導権限が無く手をこまぬいているとの説明。もちろん大阪市としても、事態の改善を厚生労働省に要請しているとのこと。
いずれにせよ、何かといわく付きの場所になりそうなこの建物。引き続き注意深く見守るべきか。

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