日本橋で長年営業を続けてきた高級オーディオ専門店の老舗「河口無線」が、来年より事業を別会社に移管することを明らかにした。
現在の運営会社「株式会社河口無線」は今年末で事業を終了し、以後は「株式会社ハープコーポレーション」(兵庫県芦屋市)のもとで店舗名も「HANIWA Audio(ハニーワオーディオ)河口無線」として事業を継続するとしている。
同社は、ラジオ受信機用部品の製造・販売を手掛けていた河口忠雄氏が1950年に法人化して日本橋で創業。日本でのテレビ放送開始から普及に至るまでの黎明期である1950年代後半には、自作PCにおけるベアボーンキットのような主要部分のみが組立済の半完成品(完成品に対して当時課税されていた「物品税」を回避できるメリットがあった)による、当時としては比較的安価なテレビ受信機を販売しヒットさせたという。
その後、国内家電メーカー各社によるテレビの大量生産が本格化したことから事業の軸足をオーディオ製品に移し、高度成長期以降は「世界の音響専門店」をキャッチフレーズに愛好家から高い支持を受け、全国的にも知られる高級オーディオ専門店となった。
1990年には創業者の手を離れ、日本橋に本社を置く家電専門店・上新電機の傘下となる。さらにその後、2005年に経営権は大阪の電子機器メーカー「クボテック」創業者の久保哲夫氏に移り、現在は世界各国のオーディオ製品を扱う従来の路線を継承しつつ、クボテック社のオーディオ製品ブランド「HANIWA」の実質的な直営ショールームとしての役割も担っている。
なお、新たな運営会社であるハープコーポレーションは久保氏の一族が経営する不動産会社で、新店舗名に「HANIWA」を冠していることからも、事業内容に当面大きな変更はないと思われるが、その一方で今回の発表に先立って、今年8月には店舗に隣接して所有していた駐車場ビルを売却し事業のスリム化を図るといった動きもあり、今後の動向も気になるところ。
住所:浪速区日本橋4-8-12
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